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世界征服流水泳術 SSS

世界征服流水泳術 SSSについて

記録への挑戦、自己の限界へ挑む マスターズスイマーのトレーニング道場 世界征服流水泳術 SSS

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記録は何歳まで伸ばせるのか?

記録は何歳まで伸ばせるのか?

2020年の東京オリンピック開催が決まり、様々なスポーツで2020年の有望選手が挙がっています。競泳では、瀬戸大也選手、萩野公介選手、山口観弘選手といった選手達がまだ19歳ですから、7年後26歳という年齢で迎える東京五輪は、まさに勝負の時となるでしょう。一方で、アテネ、北京、ロンドンと連続してメダルを獲得してきた北島康介選手は、38歳で東京オリンピックを迎えますが、皆さんはもう引退すべきだろうとお考えでしょうか?
  あるいはもう伸びないだろう…とお考えですか?
  先日メジャーリーグ、ニューヨーク・ヤンキースで活躍しているイチロー選手が、ある新聞のインタビユーに「以前出来ていたことで、今出来なくなったことは何もない。でも、以前やっていなかったりやれなかったりしたことで、今はできるようになってきたことは沢山ある。(要旨)」と答えていました。よく競技年齢の限界について問われることがありますが、イチロー選手が述べたことはまさに正論で、野球だけでなく水泳や陸上、拡大解釈すれば勉学にも共通することなのではないかな?とも思えたりします。
  競泳のトップアスリートは、概ね小学生時代から様々なトレーニングを経験し、質・量ともに、まさに何年間も体力の限界を伸ばしつつ、スピードの限界に挑み続けています。そのようなトレーニング経験がある人でも、よくよく泳ぎを見ると、水の扱い方と言う面では、もっとうまく泳げるようになるのではないか?と思えることが、時々あります。
  言うまでもなく、水泳とは「水」という流体を扱う特殊な競技です。泳いでいる間のその流体は、身体の周りにまとわりついて余計な抵抗になったりしますが、腕や足の周りに水が沢山まとわりつけば、水を押すときには大きな武器となりますし、扱い方によっては、後方から身体を前へ押してくれる武器にもなったりします。これらを上手く扱うという面では、それ相応のキャリアや身体感覚が必要ですし、レース中の力の配分なども、一定以上の経験が必要です。
  「速く泳ぐ≒力を使い切る」というのは、ある有名コーチの著書に書かれていたことを要約したものです。もちろん。水泳に限った話ではないと思いますが、運動中の身体の機械的効率が、陸上運動のそれと比べると格段に劣るとされる水泳は、相当にスキルフルな競技であるということが理解できるかと思います。だからこそ、水を扱う上で「できないことが、できるようになる」ことに大いなる意義があり、それが限界に達した時に、記録の伸びも限界を迎えるのではないかと思います。であれば、北島選手が今既に限界を迎えているかどうか?ということの答えは、彼自身が「以前できて、今できなくなったこと」が沢山でてきてしまったと判断したり、「新しくできるようになったことが極端に減ってきた」場合に、ピリオドを打つことを検討するのだろうと思います。

トレーニングの分化と統合

トレーニングの分化と統合

  近年、生理学、栄養学、動作力学など、様々な分野の科学的知識が、選手強化に役立てられているように見えます。我々も、栄養学やトレーニング科学の面から、様々な競技の強化サポートを経験してまいりました。もちろん、うまくいったことも何度もありましたが、失敗も沢山経験することができました。
そういった経験の中でいつも大きな壁となったのは、サポートは「分化」するものの、実際の競技はそれらがすべて「統合」した状態で発揮されるため、それらのサポートがどの程度効果を発揮したかについては、実はブラックボックスの中に隠されているということです。ですからその選手のパフォーマンスの原因を究明しようとした場合に、分化された科学を応用して究明することに無理が生じることが多々あります。成功している時は比較的明確に根拠を提示することは可能ですが、失敗した時は大小様々な要因がそこに関与しているように見えるため、まさに、行き着くところは「気持ちが足りない」となってしまうことが多々あります(笑)。
  特に水泳は、そういった「分化」された様々な要素が、「水」という媒介を通して統合されパフォーマンスとなって表れるため、なおさらパフォーマンスの中身を探るのが困難です。しかし、一つだけその中身を知ることができる手段があります。
  それは、「泳ぎ手の感覚」を知ることです。
  裏を返せば、「泳ぎ手が感覚を表現できる」ようになることです。

「教えてもらう指導」の限界

  様々なスポーツで「Athlete Centered Coaching」と言われ、選手主体のスポーツコーチングが叫ばれています。この背景には、例えば「反体罰」や「反セクハラ・パワハラ」といった社会現象もあるのですが、スポーツパフォーマンスはそもそもコーチがやるものではなく、選手が主人公ですから、その選手の発想や考え方が、色濃くパフォーマンスに反映された方が自然ではないか?という考え方とも言えます。
  「実は、競泳という競技こそ、そこに立ち返る必要があるスポーツではないか」と、私は考えています。
  競泳は、泳いでいる間は自分の身体の動きを自ら確認することができません。他の競技ですと、鏡を使用したり、VTRの遅延再生を使用して、動きやプレーを確認しながらトレーニングすることは可能です。競泳でも水中に鏡を沈めて、自分のストロークを見ながら泳ぐ…ということもできますが、それらが経験あるスイマーたちに対して実際にどれだけパフォーマンスを改善できるでしょうか?コーチに指示された泳ぎを実際にやってみたとして、本当にすぐ速くなるのでしょうか?
  以前、最新の動画設備を使用して水泳指導を行い、その効果を検証してみました。しかし、その場ですぐに速くなれた方はごく僅かで、ほとんどの方はストローク数が減ったもののタイムは落ちた…という結果でした。別の実験でも、やはりすぐにはスピードアップには貢献しにくいものの、泳ぎの技術の改善のきっかけにはなるのではないか…ということは示されました。
  泳ぎを変えるためのきっかけとしては、映像による客観的な情報や、見識・経験のある指導者の主観に基づく指導は極めて重要なきっかけにはなり得ます。しかし、実際にはその場でいい泳ぎを作るためのヒントは得られても、翌日プールに行くとまた元の泳ぎになっていたり、前日得た感覚を忘れたり(笑)するため、なかなか泳ぎが変わらない。そしてもう一度同じコーチに見てもらい、また泳ぎをチェックしたうえで満足するものの、翌日また同じことを繰り返す…この傾向は、マスターズの方に限りません。ジュニアの選手も実は同じところで躓いていたりするわけです。果たしてどのようにしたらこの躓きの原因を、飛び越せるようになるのでしょうか?

「実験」の繰り返しでしか「本物の泳ぎ」は身につかない

「実験」の繰り返しでしか「本物の泳ぎ」は身につかない

  昨年の冬に、とあるきっかけがあって私は平泳ぎに挑戦することになりました。
  そのきっかけになったのが『スイミングマガジン』という水泳専門誌でトップスイマーのテクニックを観察するコーナーを担当させていただいたことです。記事を書く上で、北島康介選手、山口観弘選手、故アレキサンダー・デールオエン選手、ダニエル・ギュルタ選手、レベッカ・ソニ選手、鈴木聡美選手といった平泳ぎの世界一流選手たちの泳ぎを、連続写真や動画をもとに本当に穴が開くほど観察させていただきました。
  私は現役時代からクロール以外のスポーツは苦手でした(笑)。ですから平泳ぎの泳ぎの感覚など知る由もありません。しかし、全国の水泳愛好家やジュニア選手が読んでくれる中に論述を展開するわけですから、生半可なことは書けません。従って、いろいろな選手の泳ぎを観察したり調べたりしながら、その中で疑問に思ったことを論文や学会発表の中から調べ、当てはめて考えようとしたのですが、なかなかしっくりした表現が浮かびませんでした。
「じゃぁ泳いだらわかるだろう」と思い、授業の合間に水に入って「ああでもない」「こうでもない」といろいろな動きを繰り返すことによって、徐々にその感覚を表現するワードが浮かび、原稿にする…というような生活が続きました。 するとどうでしょう。ひと月経ちふた月経ちするうちに、それまで25mを7ストロークくらいでしか泳げなかった私の平泳ぎがいつしか5ストロークになり、今では、よほど調子のいい時には4ストロークで25mに着くことができるようになったのです。そして「平泳ぎっておもしろいんだな。機会があれば、試合とかエントリーしてみようかな」と思っていた矢先、酔った勢いで地元でのマスターズの試合にエントリーすることになり、どうせ新種目にデビューするなら関東よりも知り合いも少なく、かつ勝手知ったる地元がいい…ということになって(笑)、エントリーすることになったのです。
  そのレースの模様はYou Tubeにも出していますので、興味のある方はご笑覧いただけたらと思います。
  私はその過程では特に誰からもコーチを受けたわけではありません。一度だけ、日本水泳界に平泳ぎのトップスイマーを次々排出する東海大学の加藤健志コーチに、30分ほどご指導いただいたことがありますが、本当にそれだけです。大会までは自分の泳ぎをVTRで見ることすらありませんでしたが、練習でやったことは、「この感触で泳げば、こんな進み具合になるのか」「こっちの方がよく進んでるかな」「この息継ぎだと正面から水を受けている感じがする」くらいなもので、あとはSSSの練習会に自分から参加して、代謝的な体力を少し戻す程度でした。
  この一連の経験から「こうやって泳ぎなさい」と指導してきた自分の指導行動は、自らの経験を通じていちど否定し、原点にかえって考えることを与儀なくされたわけです。今まで自分は何をもって「指導した」と言ってきたのか?何をしたら「指導した」ことになるのか?真の意味で「効果的指導法」とはどういうものなのか? そこに立ち返ってよくよく考えた結果が、2013年夏以降のSSSでの水泳指導に至っています。

指導者がいなければできないこと。

  指導者がプレイヤーへの指導をする際に最も気を付けなければならないことは、「先入観を持たない」「決めつけない」ということです。始めからこの人はこんな泳ぎをするんだろうとか、こういうタイムならきっとこういうところに欠陥があるだろう…という先入観は、人の泳ぎを正しく認識する機能に、なんらかの影響を与え、誤ったイメージとしてその指導者の脳で認識されていきます。また、指導者自身の知恵や知識をベースに人のパフォーマンスを観察しても同様で、その指導者が知り得る知識で見える範囲でしか、その人の動きが判断できません。すると、その動きが発生している根本的な原因となっていることを、スンナリ見逃してしまうケースがよくあります。もちろん、私たちにだってそういった「誤解釈」は、極力なくそうとしても、なかなか取り去ることができない、もはやタチの悪いつきものとも言えます(笑)。先般出版された「Top Swimmer Technique(ベースボールマガジン社刊)で、私と伊藤慎一郎教授との対談において「専門家ほど疑ってかかる」と話したのは、そういうことなのです。ですから私自身も、私のことを常に疑ってかかっています(笑)。長年水泳に携わっている指導者ほど、自らの指導経験や豊富な知識をもとに人の動きを観察するため、本当に見えなければならない部分を見逃している恐れがあるわけです。
  そうなると、競泳の指導者は「泳ぎをどう指導するか?」ということよりも、「動きをどのように知覚させるか?」に重きを置く必要があると言えます。であれば、従来のような「こういう泳ぎをするために、こういうドリルをやろう」ではなく、「うまく進むためにはこういう感触を自覚できた方が、こういう動きに近づける」という方が、よりスイマーの感覚に響く指導ですね。そして、その感覚を得るために指導者とスイマーが一緒にあれこれアイデアを出し合って考える方が、よりスイマー主体の指導であると言えるでしょう。そういったことが、「指導者は何のためにプールサイドに立つのか?」という問いへの解答ではないかと考えています。

集団でないとできないこと

  一方で、競泳は代謝的な能力や筋力も必要です。筋力は、代謝的な能力を支えるため、一定以上の筋肉量や柔軟性を維持(あるいは増進)しておく必要があります。特に、マスターズスイマーにとっては、日常の生活体力の維持が、定期的なトレーニングの継続に深くかかわってきます.よく,脚(あし)は衰えが早いと言われますが,筋肉量が多い部位であるから余計に,脚筋力を落とさないようにすることは必須の課題です。また、女性マスターズスイマーにとって貧血や骨密度の急激な低下を抑制することは、日常での骨折等の予防のためにも必要です。こういった、「長期に渡ってトレーニングを休止させないための努力」がベースにあって、初めて競泳のパフォーマンス向上に取り組めるわけです.当たり前ですが,そこには栄養学的な知見に基づいた食事のコントロールも,含まれてきます。
  また、マスターズスイマーにとっての代謝的な能力の維持とは、最大酸素摂取量の維持に他なりません。そのためには心臓の機能を低下させないことと、末端(特に筋)において十分な代謝ができるようにするための、筋ミトコンドリア量の維持が必要です。
心臓は、筋肉をダイナミックに使うことでのみその機能を維持できます。筋肉は、パワーにおいても持久力においても、筋に対する充分な外的(トレーニング)刺激があってこそ、ミトコンドリア量の維持・増加が可能となります。
  近年は遺伝子の研究が倫理的なハードルがあるものの、諸外国では以前よりも簡易に行えるようになったため、筋内のエネルギー代謝が遺伝子レベルで明らかにされつつあります。筋や代謝能力の適応に必要な遺伝子も、徐々に特定されてはいますが、それらは「それなり以上のショック」を筋に与えることで発現する可能性がある…ということも示唆されています。すなわち、「一人ではとてもできなさそうな練習」を行い、身体の組織のレベルで適当な負荷を与えていく必要があるということです。 「無理」のない範囲で「無茶」な運動刺激を、実施者自身が「主体的に楽しむ」ことが、身体機能の維持増進に関わっていると言えるでしょう。そこには、飽きのこないプログラム作りと、仲間や練習時にやる気になる「空気」が必要ですし、「みんなで渡れば怖くない」という集団意識が、その人の壁を打ち破るのに役立つこともあります。そういった舞台装置を作ることが、我々指導者の役割の一つであるとも考えることができます。

SSSの存在意義と今後の展望

SSSの存在意義と今後の展望

  SSSでは、設立当初から「所属の枠を超えた練習会」としており、同じ目標を持つスイマーたちの一つのコミュニティとして、その存在意義を全うしてきました。そこは、マスターズスイマーが中心であることは否定できませんが、昔も今も、若い障がい者スイマーも一緒泳いでいますし、過去には一流ではないにせよ、高校生、大学生のスイマーも所属し、ベスト更新を実現していたことがありました。立場やレベルは異なっても、みんなで声かけあって一つ一つ壁を乗り越え、楽しみながら年を重ね、更に水の扱いが上達し、様々な泳ぎを楽しめるようにしようという試みは、昔も今も変わりません。ただ、やり方(指導法)については、前述のとおり、そろそろ転換期に来ていることは確かです。
  我々は、常に自分たちが提供してきた水泳指導を謙虚に顧みて、その歴史を尊重しながらも、今まで以上にスイマー自身が主役となるような練習会であるべく、勇気を持って新しいステージに踏み出したいと考えています。そして、ジュニアスイマーを含めた多くのスイマーの方々のために、提供できる環境と、ここでしか体験できない、我々特有の自由(FREESTYLE)な発想からくる様々なトレーニングのアイデアでもって、皆様のベスト・スイムをサポートしたいと考えています。

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