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今井愛管理栄養士の「健康コラム」

自分の血液は変えられることを知っていましたか?
第2回「赤血球の変化を見てみよう」


小学生の選手では血液検査をすることは滅多にありませんが、中学生以上になると国体強化などで血液検査をする機会があります。これらの数値の変化を見ることで、疾病の予防や早期発見などの他に、今の自分の選手としてのレベルを確認することができます。
持久的能力を考えていくのに必要な項目はいくつかありますが、今回は、赤血球数とヘモグロビン濃度(血色素量)とヘマトクリット(血液中に赤血球が占める割合)の3つについてお話します。

血液を分けてみると

血液

  血液を遠心分離すると、血液は血漿と血球に分かれます。更に血球は血小板、白血球、赤血球に分けられます。

  今回の3 つの項目のうち、ヘマトクリットは、血液中の赤血球の割合を容積比率%で示したものです。その赤血球の数を示したのが赤血球数です。

  さらに、赤血球の赤い血色素は「ヘモグロビン」という赤いたんぱく質でできていて、検査項目でよく見られる「血色素量」は、血液中のヘモグロビン量を示します。
一般的に、「異常ではない」という判断となる数値は下記の通りですが、アスリートは一般の方の数倍、数十倍身体を酷使するので、更に練習の成果を出していきたいという人はこの数値だけで満足せずに、数字の変化を練習のデキと照らし合わせて、しっかりと見ていくことが大切です。

項目 異常なしの数値(※)
ヘマトクリット (%) 成人男性:38.5~48.9%
成人女性:35.5~43.9%
赤血球数(10/μL) 成人男性:400~539
成人女性:360~489
ヘモグロビン(血色素量)(g/dL) 成人男性:13.1~16.6
成人女性:12.1~14.6

※日本人間ドック学会平成24年度判定区分より
http://www.ningen-dock.jp/concerned/press/pdf/hainteikubun_120405.pdf

「異常なし」の数値をもっと細かくみよう

  数値が医師の診察の対象とならない「異常なし」の範囲であることは、アスリートにとっては「最低限」のレベルでとても大切です。そのための身体づくりは毎日の食事と運動と休養で作られますね。
さて、自分の数値が「異常なし」の範囲内の場合、その数字をもっと詳しく見ていきましょう。

  • ・ヘマトクリット・・選手の場合、脱水などで血液濃度が濃くなってくると、この数値も上がってきますよ!
    ※ 「脱水」は思っていた以上に運動中の心拍数を増加させたり、筋肉量の低下につながる場合もありますので、アスリートにとっては常に注意しなければならないことです。
  • ・赤血球数・・運動量が多くなると血液中の赤血球数は増加して酸素を沢山取り込めるようになります。脱水の時も数値が相対的に上昇します。
  • ・ヘモグロビン・・鉄と結合したたんぱく質で、酸素の運搬する働きがあります。赤血球1 個に含まれるヘモグロビン濃度が高すぎても低すぎても良くありません。
    ※ アスリートの場合、赤血球やヘモグロビンが一般的な基準値より下回ると、持久力低下の遠因となることがあります。同じ練習をしていても「最近やけに脈が高い」と感じられる場合は、疑ってみましょう。

タバコやタバコの副流煙の一酸化炭素(CO)が持久力を下げるのは?

  ヘモグロビンは、酸素が必要なところまで酸素をくっ付けて運んであげるという「酸素宅急便」をしてくれます。ところが、一酸化炭素が多く含まれているタバコの煙は、ヘモグロビンと一緒にいたいという力が強く、酸素がヘモグロビンとくっつくのを邪魔してまで、一酸化炭素がヘモグロビンにくっつきます。そのため酸素を運搬することができず、持久的能力が大きく下がります。

  また、体内に一酸化炭素を回して行きますので、スポーツ好きにとっては有益ではありません。ましてや、チームの誰かが喫煙者だと、チーム全体の持久力低下につながります。選手強化に禁煙とその環境設備は必須です!長距離趣向のマスターズスイマーの皆様や、ジョグ・マラソンなどの愛好家の方も、注意しておきたいですね。

継続的な検査で変化をみよう

  今回初めて検査をした人は、数か月後にまた血液検査してみましょう。
トレーニングと食事の成果が出たかをタイム測定でチェックするように、検査値でもチェックします。
まずは、異常値ではないかどうかです。
次に、自分の数値がどのように変化しているか?を見ていきましょう。

  トレーニング量を増やして、赤血球やヘモグロビンがどう変化していますか。脱水は生じていませんか?運動量をもっと増やせそうですか?逆に貧血の判定は受けていなくても、数値に変化が生じて自分のパフォーマンスが下がっていることもあります。 数値を線で結んで変化を見ていくと、食事や練習を見直すことができます。

あれ?と思ったら食事とトレーニングを変えてみよう

  脱水ではないかと思われる値だった場合、血液濃度が濃くなるようなこってりした食事に偏っていたり、「清涼飲料水の飲みすぎ」になっていませんか?
ヘモグロビンや赤血球数が減少しているときは、鉄分やたんぱく質の多く含まれている食事をしっかりととる必要がありますね。また、赤血球の膜を作るには葉っぱの葉酸や果物のビタミンCも必要です。赤身の肉と鉄剤で大丈夫と、思わないように!

  ジュニア選手の場合は、親御さんの食事のスタイルが影響しやすいので特に気を付けてください。バランス良い食事をして、トレーニング量に応じて主菜量が不足しないようにすることが大切です。

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そして、定期的に血液検査をお忘れなく!!

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今井愛(いまいあい)管理栄養士

今井愛管理栄養士

神奈川県鎌倉市出身。今井愛食生活事務所 所長。フリースタイルがトレーニングマネジメントしてきた競泳選手をはじめとして競輪、スピードスケートなどの世界と戦うトップアスリートの食事と体調管理のサポートを担当。的確なアドバイスでアスリートらの競技力向上に多大に貢献している。血液検査のデータから読みとる選手の体調管理とトレーニングとの相関関係の分析には定評があり、日大文理学部の野口智博教授からの信頼も厚い。「食から元気に!」をモットーに神奈川県を中心に、神奈川県体育協会、横浜市体育協会、市町村等に、スポーツ栄養支援や食育活動を行っている。

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