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今井愛管理栄養士の「栄養コラム」

第1回
「主食量を増やして体力アップを目指そう」

1.持久力向上のための食べ物は?

糖質の多い食事を摂り、糖質補充をこまめにすることで、
トレーニングの質を高める事が期待できます。

水泳をしていて、『筋肉をもっと動かしたいのに体力が持たない・・』ということはありませんか?こんなとき、筋量を増やすために食事を見直すのか、持久力をあげるトレーニングをすれば良いのかわからなくなることがあります。

実は、正しい食事と正しいトレーニングによって持久力をつけることができます。

正しいトレーニング方法は、野口先生のコラムやフリースタイルの講習会で知識と実践を身につけて頂くのがベストですが、エネルギー量が足りない状態で厳しいトレーニングを行っても、目標タイムを出すための身体作りはできません。
ところで、持久力をあげる為の食事については、2003年にIOCがこんな声明を出しています。

運動前の栄養で目指すのは糖質貯蔵量を増やし糖質の枯渇で運動能力が低下しないようにすることである。 運動前の数日間、糖質摂取量を増やして筋肉グリコーゲン量を増大すると持久的な運動、特に90分以上継続する運動でパフォーマンスを向上させる。運動の3,4時間前の糖質補給は肝臓と筋肉のグリコーゲンを増やし、持久運動パフォーマンスを向上させる。糖質摂取のエネルギー代謝に対する影響は少なくとも摂取後6時間存在する。

IOC Consensus Statement on Sports Nutrition 2003より
(スポーツ栄養に関するIOCの合意声明2003)

つまり水泳のような持久的な運動においては、糖質の多い食事、すなわちご飯やおにぎり、パン、麺という主食を十分に摂り、芋、果物、大福、あずき、飴玉、はちみつなどの糖質補充をこまめにすることでトレーニングの質を高めることが期待できます。
すなわち、コーチが組むトレーニングの目的に見合った効果を得るための、身体の条件が整うわけです。


糖質の多い食べ物例
サツマイモの五目汁、とろろ芋ご飯、うどん


2.糖質の役割って何?

糖質は筋肉グリコーゲンの源!
持久的な運動には必要不可欠な栄養素です。

一方で、激しい運動すると筋に蓄えられたグリコーゲンがグルコースから乳酸になります。これは、一般的に言われる無酸素系エネルギーの生成です。また、呼吸をしながら行える運動ではグルコースは乳酸を生成させずにエネルギーを発生させます。

水泳は、呼吸しながら泳ぐので有酸素運動!と考えるかもしれません。 しかし、ベストタイムを目指して力一杯泳いでいるときは、脂質に比べ糖の方がすぐにエネルギーになってくれるため、全力運動では自然と糖が多く使われる状態になっています。ですが、筋内で生産された疲労物質を代謝させるには酸素の供給が不可欠ですので、水泳は無酸素系と有酸素系エネルギーの両方を使う競技といえます。

慣れない運動をしていて呼吸がスムーズにできないときを含め、無酸素エネルギーと有酸素エネルギーの両方を生成させながら行うスポーツは多く存在しますので、エネルギー代謝を活発にさせる種目においては、たとえビギナーであろうとも上級者であろうとも、エネルギー源をきちんと準備した状態で練習を行うことは、練習をより効果的に行うために必要不可欠だということです。

さて、乳酸は肝臓へ移動してグルコースとなり、また筋肉へ移動します。筋に移動したグルコースが有酸素系のエネルギーを発生させると乳酸から生じる無酸素系エネルギーの12倍ものエネルギーを生じることができます。

ただし、乳酸の生成が急激に増えると筋のPHが下がるとも言われています。そうなると、筋の中の環境が酸性に傾き、呼吸指令が促進されてしまうため、筋の動きが悪くなり息も切れてしまいます。また乳酸は、他の疲労物質の蓄積と同じように増えるもので、乳酸の増加=他の疲労要因の増加でもありますから、急激に乳酸が増加しないようにする対策が必要になります。

これは食事だけではなく、適切なトレーニングによって効果が出ます。有酸素系トレーニングと無酸素系トレーニングの両方をバランスよく行います。そうすることによってトレーニングによって無酸素エネルギーの発生から有酸素エネルギーへのバトンタッチをスムーズにさせる能力が付きます。これが持久力向上の鍵です。

また、最初は慣れずに息切れしていたのが、トレーニングに段々慣れてきて泳ぎも良くなってくるという状態が訪れるのは、筋肉で乳酸生成に伴うエネルギー生成だけではなく、有酸素エネルギー系で沢山のエネルギーを生成できるようにもなるからです。これは適切な負荷で持久的トレーニングが行えた場合に起こる身体の適応で、例えば筋肉が以前より酸素を多く取り込めるようになるとか、そういった適応ができたときに体感できるものと言えます。


3. 主食が体力アップの要

主食が不足していると、筋肉自体を破壊して
エネルギーを発生させてしまいます。

エネルギー生成の鍵となるグリコーゲンは何かというと、グルコースがいくつか結合したものです。グルコースが沢山結合したものは分りやすい言葉で『でんぷん』と言います。でんぷんと言えば主食です。

筋肉にグリコーゲンを蓄える為には、その元である主食を食べる必要があります。主食に含まれているグルコースは、人間が生きる為にとても大切な成分です。 したがって、少しでも不足していると筋肉への補充量は減ってしまいます。筋肉への補充量が減少すると、筋肉は沢山動くことができなくなるので体力は落ちます。さらに、主食の量が少ないと、エネルギーがない状態では生きられないため、筋肉自体を壊してエネルギーを発生させてしまいます。そのために筋量が減少したり、体重が落ちていきます。

「筋量を増やしたくてトレーニングしているのにどうして体重が落ちるのだろう?」「なかなか筋肉が増えない・・。」と悩んでいる人はエネルギーの基本である主食量を増やしましょう。

逆に、しっかりした食事の他に主食も充分に食べながらトレーニングを行うと筋肉量が増え体格が良くなります。 更に、蓄えられるグリコーゲン量が多くなるので多くのエネルギーを生み出すことができ持久力をあげることが可能となります。

つまり、主食を十分に食べて正しいトレーニングによる筋力アップによって筋肉でのエネルギー生成を増加させ、持久力をあげることができるのです。


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今井愛(いまいあい)管理栄養士

今井愛管理栄養士

神奈川県鎌倉市出身。今井愛食生活事務所 所長。フリースタイルがトレーニングマネジメントしてきた競泳選手をはじめとして競輪、スピードスケートなどの世界と戦うトップアスリートの食事と体調管理のサポートを担当。的確なアドバイスでアスリートらの競技力向上に多大に貢献している。血液検査のデータから読みとる選手の体調管理とトレーニングとの相関関係の分析には定評があり、日大文理学部の野口智博教授からの信頼も厚い。「食から元気に!」をモットーに神奈川県を中心に、神奈川県体育協会、横浜市体育協会、市町村等に、スポーツ栄養支援や食育活動を行っている。

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